「ZERO to ONE」についての備忘録
以下の本を読んで、印象に残ったところをメモっときます。
- 作者: ピーター・ティール,ブレイク・マスターズ,瀧本哲史,関美和
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2014/09/25
- メディア: 単行本
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著者について
- ピーター・ティール
メモ0.全体を通して
- 新しい何かを生み出すことを「ゼロから1にする」という表現。
- 今流行りのリーン・スタートアップとの考え方の進め方の比較が面白い。
- 著者はリーン・スタートアップ(への世間の熱狂)へ懐疑的な考えを持っている。
- (成長のための手段としてリーンの進め方は 良いと思っている印象)
- リーン・スタートアップ的なビジネスの進め方
- ↓うまくいっているビジネスの事例を探す。
- ↓うまくいっていないビジネスの事例を探す。
- ↓うまくいっているビジネスとうまくいっていないビジネスの差を明確にする(誰も足を踏み入れていない未知の領域。未踏の領域。)。
- 以下を繰り返す。
- ↓未踏の領域に対する仮説を立てる。
- ↓仮説を検証する。
- 著者の考えるビジネスの進め方
- ↓独占できる小さな市場を探す
- 「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」
- ↓他社から10年先をいく技術と戦略を作る。長期計画をたてる。
- ↓その市場を独占する。
- 「その市場を独占している」ことを世間から隠す(=独占状態は叩かれる。競争状態になるのを避ける)。
- ↓関連する市場に拡大させていく。
- 既存市場を破壊するのではなく、市場全体が潤うことを考える。
- ↓独占できる小さな市場を探す
- 著者が前提としてる考え
- 他者の見よう見まねをしても1がnになるだけで、ゼロを1にはできない。
- 他者のいる市場の多くは既に完全競争状態になっており、その状態において利益を出すことは不可能。
- 機能的な競争による差別化への投資コスト増大(=創造への投資ができない)、値下げ競争による利益率低下のため。
自社は完全に競争状態の市場にいる(;´Д`)
メモ1.「万能選手」にあるより、いちばんになれることに力をそそげ
(p.92)あれもこれも中途半端に追いかけて「万能選手」になるより、いちばんいいことと思うことを決め、それを実行するべきだ。必死にみんなよ同じことをするより、本当に身のあること、自分がいちばんになれることに力を注ぐ方がいい。
あれやこれや中途半端に手を出すほう(;´Д`)←
メモ2. 未来は予想できないかもしれないが、長期計画はちゃんと立てるべき
(p.110)(前に「ダーウィン主義」として、どんな生き物もほかの生命体のランダムな反復にすぎず、最適な反復が生き残るという説明がある。)
エンジニア主導のシリコンバレーでさえ、今流行りの戦略といえば、変わり続ける環境に「適応」し「進化」する「リーン・スタートアップ」だ。起業家予備軍は、先のことは何もわからないのだと教えられる。顧客の欲求に耳を傾け、MVP(実用最小限の製品)以外は作らず、うまくいったやり方を反復すべきだと言われる。
だけど、「リーンであること」は手段であって目的じゃない。既存のものを少しづつ変えることで目の前のニーズには完璧に答えられても、それではグローバルな拡大は決して実現できない。iPhoneでトイレットペーパーを注文するための最適アプリを作ることはできるだろう。でも、大胆な計画のない単なる反復は、ゼロから1を生み出さない。だから、あいまいな楽観主義者が起業するというのは、何より奇妙だ。成功を実現するための計画がないのに、どうやって成功するつもりなのだろう?ダーウィン主義はほかの文脈では筋の通った理論かもしれないけれど、スタートアップにおいてはインテリジェント・デザインことが最適だ。
※インテリジェント・デザイン:宇宙や自然界といったシステムは偶然生まれたのはなく、意図や目的を持つ「偉大なる知性」によってデザインされたとする理論
と
(p.112)
ジョブスから学ぶべきいちばん大切な教訓は、美しさとはなんの関係もない。ジョブスが残した最も偉大なデザインは、彼の会社だ。アップルは、新製品を開発し、効果的に販売するための明確な複数年計画を描いてそれを実行した。「MVP」なんてちっぽけな考えは捨てよう。1976年にアップルを創業して以来、ジョブスはフォーカス・グループの意見を聞かず、他人の成功を真似ることもなく、念入りな計画によって世界を本当に変えられることを証明した。
(中略)
2001年11月に初代iPodが発売された時、業界アナリストはこれを「マックユーザーのためのおもちゃ」で、その外の世界は「何も変わらない」と見ていた。ジョブスはiPodをPCに代わる新しい世代のポータブルデバイスの第一弾と位置づけていたのに、その隠れた真実はほとんどの人の目には映らなかった。アップルの株価グラフを見れば、この長期計画のもたらした恩恵がわかるはずだ。
「リーン」という手段を使って仮説検証を使っていくのは良いが、全く新しいものを作って拡大させる(0→1)には長期計画(=自分がどうして行きたいか)が必要とのこと。「未来はどうなるか分からないから計画は未定ー\(^o^)/(←「あいまいな楽観主義者」)」とか言ってはいけない(;´Д`)
メモ3. 投資は絞り込みを行うべき
(p.119)でも、この「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」作戦では、たいていひとつも当たらずに、ポートフォリオ*1はゴミの山になってしまう。ベンチャーのリターンは正規分布ではないからだ。むしろベンチャーに当てはまるのは「べき乗則」だ。一握りのスタートアップがその他すべてを大幅に上回るリターンを叩き出す。だから。分散ばかりを気にかけて、圧倒的に価値を生み出す一握りの企業を必死に追いかけなかれば、その稀少な機会をはじめから逃すことになる。
(中略)
いちばん大切なのは、「ひとつのもの、ひとつのことが他のすべてに勝る」ということだ。(略)ある市場はその他すべてのの市場に勝る。(略)ある販売戦略がほかのすべてを支配している。(略)時間と意思決定もまだべき乗則に従い、ある瞬間がほかのすべての瞬間よりも重要になる。
裏を返すと、分散して投資すると1つが当たったとしてもその分散投資のコストが大きく、成果が微々たるものにあってしまう(最悪の場合、利益がでない)という意。投資する領域を絞ることは勇気のいることだが、やっとかないといつまでも成功しない(;´Д`)
メモ4. 営業・販売も製品デザインの一部である
(p.175)販売を製品デザインの一部と考えるべきでだろう。なにか新しいものを発明しても、そのれを効果的に販売する方法を作り出せなければ、いいビジネスにならない。それがどんないいプロダクトだとしても。
(中略)
差別化されていないプロダクトでも、営業と販売が優れていれば独占を築くことはできる。逆のケースはない。製品がどれほど優れていても、たとえそれが従来の習慣に合うもので、利用者が一度で気に入るような製品だとしても、強力な販売戦略の支えが必要になる。
営業と販売が大切で、そこの戦略がない場合は製品を開発/リリースすることが無駄になってしまう。営業さんと連携をとっておかないといけない(;´Д`)
(p.186)
周りを見回してみるといい。営業マンがいないとしたら、君自身がその営業マンなのだ
(;´Д`)営業苦手。
メモ5. ビジネスが答えを出すべき問い
(p.204)1. エンジニアリング
段階的な改善ではなく、ブレークスルーとなる技術を開発できるだろうか?
2. タイミング
このビジネスを始めるのに、今が適切なタイミングか?
3. 独占
大きなシェアがとれるような小さな市場から始めているか?
4. 人材
正しいチーム作りができているか?
5. 販売
プロダクトを作るだけでなく、それを届ける方法があるか?
6. 永続性
この先10年、20年と生き残れるポジショニングができているか?
7. 隠れた真実
他者が気づいていない、独自のチャンスを見つけているか?
この本における象徴的なキーワード群。とても大切。
メモ6. 独創的な独裁的なリーダーが必要である
(p.245)新たなテクノロジーの生み出す会社が、いわゆる「現代的」な組織ではなく封建主義制に近いことを暗に示している。独創的な創業者は、有無を言わせずに決断を下し、忠誠心を呼び起こし、数十年先まで計画できる。逆に、訓練されたプロフェッショナルが運営する個性のない官僚組織は、ひとりの寿命を超えて存続するけれど、目先のことしか見えていない。
企業は、人々が創業者を必要としていることを自覚しなければならい。だから、創業者の偏屈さや極端さにもっと寛容になるべきだ。単なる漸進主義を超えて会社を導くことのできる非凡な人物を、僕たちは必要としている。
独創的で独裁的になりたいものです(´Д`)
日本だと独裁的な経営は叩かれそうだけど、その辺は寛容的にならないといけないらしい*2。独創的な戦略を挙がっても、企業は多くの人で検討するのでそれらのアイディアが入ってきて、その独創性が薄まってしまうのもある気がします。
参考
- 作者: ピーター・ティール,ブレイク・マスターズ,瀧本哲史,関美和
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2014/09/25
- メディア: 単行本
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リーン・スタートアップ ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす
- 作者: エリックリース
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2013/09/11
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